2018-01-28

ふりこの動き

【5年 ふりこの動き(8時間)
「大きなのっぽの古時計」の歌から、「なぜ100年も正確に動いたのだろう」「ふりこってどんな役割があるの」と疑問を持たせ、学習を始めます。そして、ふりの速さを変える条件を班ごとに調べていきます。

1.ねらい
ふりこは振幅を変えてもおもりの重さを変えても往復する回数は一定であるという「ふりこの等時性」(ガリレオが発見)を理解させるのがこの単元のねらいである。
①ふりこの一往復する時間は、おもりの重さや振れ幅では変わらず、ふりこの長さによって変わることがわかる。
②ふりこの運動の規則性について興味を持って調べる。

2.学習指導計画
(1)学習指導計画(7時間)
①ふりこ時計
課題①「大きなのっぽの古時計」が動く仕組みを調べよう
・・・ふりこ時計の仕組み
②ふりこの速さ
課題②ふりこの速さはどのようにしたら変えることができるのだろうか。
→3つの予想 ふりこの重さ、ふりこの長さ、ふりこのふれ幅
実験方法を考える
③おもりの重さ
課題③おもりの重さを変えてみよう
実験A:おもりの重さを変えてふりこの速さを調べよう
変える条件 おもり1個 おもり2個 おもり3個
共通    30度 60㎝
追加実験・・同じ大きさのふりこで材質を変えて調べよう
④ふれはば
課題④ふれはばを変えてみよう
実験B:振れ幅を変えてふりこの速さを調べよう
変える条件 15度 30度 45度
共通 60㎝ おもり1個
⑤ふりこの長さ
課題⑤ふりこの長さを変えてみよう
実験C:ひもの長さを変えてふりこの速さを調べよう  
変える条件 30㎝、60㎝、90㎝  追加実験  1.8m
共通 30度、おもり1個     
⑥まとめ・・キーワードを入れて課題②の考察をまとめる。
⑦NHKビデオの活用  テスト

(2)教科書の学習指導計画を見ると(9時間)
①ふりこの動くようす(1時間)
ふりこをつくり(金属・ガラス玉)動かしてみる。どれも同じ様に動くか。
→1往復の時間の違いは、何によって変わるのか(学習課題へ)
②ふりこの1往復する時間の変化(6時間)
「実験①ふりこの長さ、実験②おもりの重さ、実験③ふれはば」を変えて10回ふって測る。
5回の平均時間÷10=1往復の時間
→1往復の時間を変えるのはふりこの長さである。長いときほど一往復の時間が長くなる
③メトロノームを作ろう。ふりかえりのページ。(2時間)

.授業の記録 
(1)ふりこ時計
課題①大きな古時計は、①どのようにして、②正確に、③長い間 動いていたのだろうか。

歌 「大きなのっぽの古時計」の1番
おおきなのっぽの古時計 おじいさんの時計
百年 いつも動いていた ごじまんの時計さ
おじいさんの 生れた朝に 買ってきた時計さ
いまは もう動かない   その時計
百年 休まずに チク タク チク タク
おじいさんと いっしょに  チク タク チク タク
いまは もう動かない その時計

〇まず最初に、歌詞を見て「大きなのっぽの古時計」の絵を各自で書く
(班で1名黒板に)

「大きな古時計」の菓子から読み取る








〇自由に気付いたことを出し合う話し合い(興味・関心を高める)…手短に
・子どもがよく知っている歌の歌詞からの読み取り・・・・興味関心が高まる
「おじいさんが生まれた朝に・・・」→おじいさんの誕生したお祝いではないか
「百年いつも動いていた」(「今のように電池もない時代だ」と説明)
→ぜんまいを巻いていた(いなかのおじいちゃんの家で見たことあるよの声)
おじいさんが巻いていた、いつもやっていたら正確だった
「今はもう動かない」→おじいさんが死んでしまった、巻く人がいないから

〇発問:どうやって動いていたのかな?
・柱時計の絵を見せる→柱時計の仕組みを考え、理解する。
ぜんまいの仕組み→ばね→時計の針  

〇発問「では、ふりこは何のためにあるのだろうか」
→正確に動かすため 自作の模型で説明(うずまきばねとアンクル)
時計が遅れたり進んだりするときはどうするだろう→これを次時の課題にする

振り子時計の模型(自作)を活用

◇1時間目の授業の略案

時間
配分
学習活動

 ○指導方法等の工夫
★評価

15



20









10
  

課題①「おおきなのっぽの古時計」の仕組みを調べよう
・歌詞を見て「おおきなのっぽの古時計」の絵を書いて、発表する。(ノート→黒板・または電子黒板)
   
〇話し合いで、柱時計の仕組みを考える。

発問①「どうやって動いているでしょうか」
⇒ぜんまい→ばね→時計の針

発問②「ふりこは何のためにあるのだろうか」
⇒時間調整のため(時間を早める・遅くする)

学習課題を見つける
「ふりこをどうすると、時計の速さを(時間を早める・遅くするなど)変えることができるのだろう」

○歌詞を黒板に書いておく。

  
○子どもがよく知っている歌の歌詞から読み取らせる


○教師の発問を2つ用意する。


○ふりこの等速運動に気づかせる。そして、等速運動をしているものを見つける(メトロノーム、車のワイパーなど)

★柱時計の仕組みを理解し、学習課題を見つけることができたか。

(2)ふりこの速さ
課題②ふりこの速さはどのようにしたら変えることができるのだろうか。
・3つの仮説 ふりこの重さ、ふりこの長さ、ふりこのふれ幅
・実験方法を考える

(3)おもりの重さ
課題③おもりの重さを変えてみよう
実験A:おもりの重さを変えてふりこの速さを調べよう
変える条件 おもり1個 おもり2個 おもり3個
共通 30度 60㎝
追加実験・・同じ大きさのふりこで材質を変えて調べよう

板書は、(2)(3)の2時間続きの授業です。

重さを3種類変えて実験しました。

〇重さをかえても、ふりこの速さは変わらないことが分かる。

(4)ふれはば
課題④ふれはばを変えてみよう
実験B:振れ幅を変えてふりこの速さを調べよう
変える条件 15度 30度 45度      
共通  60㎝ おもり1個

ふれはばを3種類変えて実験しました。

(5)ふりこの長さ
課題⑤ふりこの長さを変えてみよう
実験C:ひもの長さを変えてふりこの速さを調べよう  
変える条件 30㎝、60㎝、90㎝ 
追加実験  1.8m
共通    30度、おもり1個 

長さを4種類変えて実験しました。


・ふりこの長さを変えると速さが変わることが分かる。
長くするほどゆっくり振れることがわかる。
・ふりこ時計の時間調節の仕組みを理解させ、1時間目に書いた絵に調節ねじを書き込ませる。(ノートを授業で使う)。

子どもたちは、授業の初めに描いた絵に書き込むことで、ふりこの速さが何によって変わるのかの確認が出来た。(「なるほど」「そうだったのか」の声が聞こえた。)

(6)まとめ
・キーワードを入れて課題②の考察をまとめる。
 実験結果からふりこの長さを変えた時だけふりこの速さが変わることが分かる。

キーワードを入れてまとめました。

キーワード:ふりこの長さ・ふりこの重さ・ふれはば・長い・短い・速くなる・おそくなる

キーワードを提示することで、どの子も正しく考察を書くことが 出来る(ノート指導)
時間があれば、ふりこの長さを5をメートルにしたらどうなるか予想して実験する。(実験結果を予想し、カウント付き のリールを釣竿につけて、3階の理科室の窓からひもを地上にたらす実験を行った)

(7)NHKビデオの活用  テスト
ショートビデオの活用(別紙資料)・・・・・書き込み式ワーク形式   
共振実験

4.教材研究
(1)授業の工夫
①導入を工夫して、等速往復運動をするふりこに興味を持たせる
(歌・ふりこ時計)

②おもりについて
スーパーボールをおもりにしてクリップでつり下げられるようにする。また、5円玉でやってみたこともある。この良さは同じ場所に簡単にいくつもつけられることです。

③教科書にある3つの実験を行う。教科書は多くの繰り返しの実験(5回×3=15回)があり、詳細な記録を取らせ、子どもが飽きてしまう。これは学習指導要領による「条件制御」を強調したものであるが、実験をやってきた実態からみて、実験は2回×3=6回とする。

④導入の「児童がつくるふりこ」や「最後のメトロノーム」作りなどは、時間がかかりすぎ、また正確さに欠ける子どもが出る。これは「子どもが方法を考え、実験道具を作らせる。失敗してもその経験はよい」とする旧指導要領の流れが残っているのではないだろうか。
ここでは、用意したおもりとスタンドを使い、どの子も・どのグループがやっても正確に結果が出せる実験に集中する。おもりの材質を変えたり、5メートルの長さの糸で調べたりすることに時間を使いたい。
また、他の単元同様に9つの班の実験結果をその都度板書させる。そして、自分たちの班の実験結果を他の班と比べながらすすめる形をとる。こうすると、自分たちの班だけ違うデータになると、「なぜ?」と考え、もう一度やってみる契機になる。実際、授業でそうした場面が見られた。

【実験用のふりこ】

スーパーボール 5円玉

(2)NHKビデオ(テーマと内容)の活用
①ふりこ時計
長いふりこの時計と、短いふりこの時計。ふりこのふれ方がちがいます。1往復する時間がちがっています。おもりの下にあるネジをまわして、おもりを上下に動かすと、ふりこの長さを変えられます。時計がおくれる場合には、どうすればいいのでしょうか。逆に、時計が進む場合は、どうすればいいのでしょうか。 

②ふれはば
同じ大きさのペットボトルに水を入れたおもりを使って、ふりこのきまりを調べてみましょう。おもりの重さ、ひもの長さは全く同じです。ふれはばを同じにすると、一往復する時間も同じになります。今度は長さと重さは同じで、ふれはばだけを変えてみます。 

③ひもの長さ
ふりこが動く速さは、ヒモの長さによって変わるのでしょうか?10kgのおもりのふりこのヒモの長さをかえて、5往復する時間をくらべてみましょう。まずは、ヒモの長さは1.5mです。ふれはばは45cm。1回、2回、3回、4回、5回。12秒71でした。次に、ヒモの長さは2m、ふれはばは同じ45cm。1回、2回、3回、4回、5回。14秒55でした。最後に、ヒモの長さは1m、ふれはばは同じです。
1回、2回、3回、4回、5回。10秒13でした。
ヒモの長さが短いほど、ふりこが往復する時間は短くなるのです。

④おもりの重さ  
ビー玉を入れたペットボトルと、水を入れたペットボトル。重さのちがうこの2つをおもりにして、ふりこが1往復する時間をくらべてみましょう。   

⑤ブランコ 
ミニチュアのブランコを作ってみました。なんだか忙しい動きです。本物のブランコのゆれ方は、このようにゆっくりです。ミニチュアのブランコと本物のブランコでゆれ方が違うのはどうしてでしょう。

⑥ガリレオが発見したふりこの等時性
長さを一定にすると、ふれはばを大きくしても小さくしても、往復する時間は同じです。このことを発見したのは、16世紀の科学者、ガリレオ・ガリレイです。
1583年のある日の夕方、ガリレオはピサの大聖堂に入りました。中は薄暗く、あかりを灯されたばかりのランプが大きくゆれていました。
何気なく、ゆれるランプを見ていたガリレオですが、ふと気づいたのです。
大きくゆれるのと小さくゆれるのと、ランプが往復する時間は変わらないようだ。手首の脈を取り、時間を測ってみると、やはり脈の数はほぼ同じだったのです。
「ふりこの往復する時間は、ふれはばとは関係ない。」ふりこのきまりを発見はこの時と言ていますれています。    

⑦ふりこを使った手作りおもちゃ   
これは、ふりこの動きを利用して作ったおもちゃです。どのような仕組みになっているのでしょうか。ふりこになるぼうにねん土のおもりがつけてあります。このおもりの位置を動かして、速さを変えてみます。おもりを上にすると、速く動き。おもりを下に動かすと、ゆっくり動くようになります。みなも工夫して、ふりこのおもちゃを作ってみて下さい。

(3)5時間目のふりこの長さを変える授業の指導案(略案)





学習活動

○指導方法等の工夫 
★評価規準【評価方法】

 5







15







30


  
45

1 前時想起(課題2の実験①おもりの重さを変える)

2 本時のめあてを確認する
  課題②ふりこのふれる速さは何によって変わるのだろうか。
実験②ふりこの長さを変える 

3.身近な生活の中にあるふりこの原理を生かしたものを思い出し、前時想起と合わせて予想を書く。
  
4 班ごとに実験をする。

共通 (30度・おもり1個)

変える 長さ30㎝、60㎝、
    90㎝、120㎝)

・実験準備を、協力して・正確に行う。
・実験をして、結果を黒板に書く
・考察を書く。 

5 話し合いで課題解決を確かめる。(おもりの長さを変えるとふりこの速さが変わる。長くするほど、ふりこの速さは遅くなる)

・次の学習のめあてをつかむ。

○電子黒板で前時の板書を提示する。


   

○本時の予想は、(論理的な面より)意欲づけのためなので簡潔に書かせる。

○他の班の結果と比べながら自分の班の実験の進め方を確かめさせる。

★協力して実験を進めることが出来るか。



○メトロノームを提示し、実験結果の確認に生かす。グラフ化するとよくわかることを示す。

★正しい実験結果を出し、課題に対応した考察を書くことが出来るか。

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