2018-01-28

植物の養分と水の通り道

【6年 植物の成長と①養分 ②水の通り道】

ポイント

教科書では、日光の関わり(光合成)と水との関わりが別の単元になっていました(同じ単元にまとめてある教科書もあります)。植物は養分のでんぷんを自分で作り、水に溶けないでんぷんを糖に変えて体中に運び、成長に使います。さらに、その一部を再びでんぷんに戻して(分解)、種子や芋などの中に蓄えたりします。こうした植物の不思議さとその素晴らしさに気付かせたい単元です。水の通り道は中学で出てきますが、顕微鏡を使ってしっかりみせます。

1.ねらい

植物が葉で養分をつくる働きや水分の行方を観察する活動を通して次の2点の理解を図り植物の体について興味関心をもって考える態度を育てる。植物教材の単元2と4は、連続して扱った。
1.植物の葉に日光が当たるとでんぷんが出来ることを理解する。(光合成)
2.根、茎、葉には水の通り道があり、根から吸い上げた水は主に葉から蒸散していることが分かる。

2.学習指導計画

(1)教科書を見ると(10時間)

◆「植物の成長と日光の関わり」では、
①日光が植物の成長とどのようにかかわっているか話し合う 
②実験計画をたて、午後、葉にアルミニウム箔をかける。
③翌日、植物の葉に日光が当たるとでんぷんができるか調べる。
→湯の中で葉を煮て、ヨウ素でんぷん反応(エタノール使用は紹介)
④実験結果をもとに、葉に日光があたるとでんぷんができるか考える。
→養分は成長に使われる
⑤「たしかめよう」「学んだことを生かそう」

◆「植物の成長と水の関わり」では、
⑥根から取り入れた水がどこを通るか調べる→顕微鏡で観察
⑦実験結果から水がどこを通るかまとめる
⑧葉から水が出ているか調べる→ビニール袋をかけて比較(蒸散作用)
⑨葉の表面を調べる→気孔の観察
⑩確かめよう・学んだことを生かそう

教科書では、光合成については、2日連続での取り扱いになっている。
①天候の関係でこのようにできる条件は少ない。
②理科専科として3クラス教えているので決められた時間内でやらなくてはならない、という制約がある。本来、子ども自身がセットするのがいいのだが、教師が天候を見てあらかじめ実験用の葉を用意し冷凍庫で保存しておく。でんぷんは、水に溶けずにそのまま保存される。これだといつでも実験できる。(フリーザーバックで冷凍すると何か月でも保存できる。

(2)学習指導計画(9時間)

(1時間目)生物どうしのつながり
課題①次の動物は何を食べますか。そのことから何がわかりますか
(2時間目)植物の成長と養分(課題づくり)
課題➁動物は栄養を他の動物や植物から取ります。植物は、成長に必要な栄養をどう取り入れるのだろうか。それはどこでどうやってつくるのだろうか。
(3時間目)(4時間目)植物の成長と栄養分(光合成)
課題③植物の葉に着目して(前時の話し合いをもとに)栄養分を、①いつ、②どのようにつくりだすのか実験で確かめよう。
(5時間目)光合成のまとめ
植物は、光合成ででんぷんをつくり、酸素も空気中に出している(まとめ)
(6時間目)(7時間目)植物の成長と水
課題④成長に必要な水をどのように運んでいるか調べよう(8時間目)植物の成長と日光・水(まとめ)(9時間目)NHKビデオを活用して学んだことを振り返る。
(8時間目)植物の成長と日光・水(まとめ)
(9時間目)NHKビデオを活用して学んだことを振り返る。

3.授業の記録

(1時間目)生物どうしのつながり

課題① 次の生物は何を食べますか。 
(ライオン かまきり きりん ナナホシテントウムシ、めだか等)
ライオン→インパラなどの草食動物→草
かまきり→バッタ→草(ちょう→花のみつ)
きりん→木の葉・小枝    
ナナホシテントウムシ→アブラムシ→草のしる
めだか→動物性プランクトン→植物性プランクトン
○最後は植物になる。(肉食動物も草食動物もその食べ物を辿っていくと植物になる。)
食べる・食べられるの関係


〇教師が示したものを班ごとに動物を決めて同じように矢印で食べ物を書いて掲示した授業(1.5時間)と話し合いで予想を書いていく1時間扱いの両方を提示します。

下の写真は、以前カードを示して生物を分類し、植物で学ぶことをはじめに確認して授業をした時のものです。
こどもたちがカードに書いて、考え合いました。


【子どものノート】
◇考察 食べる・食べられる関係で最後は植物。何のために食べる?生きるエネルギーになるため。
◇考察 動物は動いて栄養分を体の中に取り入れるが、植物は動けないので栄養分を自分でつくる。
◇考察 動物は、動物または植物を食べ栄養分をとって生きている。植物は動けないから自分で栄養分のでんぷんをつくり、根で水をすいあげている。動物はものをとるために動いている。
◇考察 このことからわかったことは、大きいものが小さいものを、強いものが弱いものを、肉食動物が草食動物を、草食動物が草などの植物を食べる。

【子どもがこのほかの動物についてノートに書いたもの】
生物のつながり
めだか⇒ミジンコ⇒植物性プランクトン
だんごむし⇒枯れ葉
ライオン⇒キリン⇒草 シマウマ⇒草 ガゼル⇒低木の草
食べる・食べられるものの最後は植物。植物は栄養を他からとれない。自分でつくらないと生きていけない。

 

(2時間目)植物の成長と養分(課題づくり)

課題➁ 動物は栄養を他の動物や植物から取ります。植物は、成長に必要な栄養をどう取り入れるのだろうか。それはどこでどうやってつくるのだろうか。
○(5年の学習の振り返り)
問1:インゲンの発芽の条件は?      
→児童:水   空気  適温
問2:発芽の栄養は何だったのだろうか?どうやって確かめたのか?  
→児童:種子の中の子葉の養分、でんぷん
→児童:ヨウ素デンプン反応で確かめた(青紫色)
問3:インゲンの成長の条件は?      
→児童:日光  肥料
問4:植物が成長するための栄養は何か? どこでつくるのだろうか?     
→児童:植物の発芽の養分はデンプンだった。動物の様に他から取ってこないから、種子の養分はでんぷんだから、でんぷんを作るのではないか。

〇話し合いで出た意見は、
・養分とは何か →でんぷん、水、土の中の養分、生きるために必要なもの、など
・どこでつくるのか→花の膨らんでいるところ、葉(一番多いから)
ここが一番多くの意見が出た。根や茎、葉なの役割について意見が出された。
根・・・植物を支えたり水を吸い上げたりする。
茎・・・体を支える。水を運ぶ。
花・・・子孫を残す(5年の学習から)
葉・・・養分をつくるのではないか。他より面積が広いので一番たくさんつくれるから。
・いつつくるのか→昼、必要な時、条件のそろった時  など
・どうやってつくるのか→日光、水 など
〇補足:ファン・ヘルモントの実験について話す。

(3時間目)(4時間目)植物の成長と養分(光合成)

課題③植物の葉に着目して(前時の話し合いをもとに)栄養分を、①いつ、②どのようにつくりだすのか実験で確かめよう。  
前の時間の話し合い活動を振り返り、話し合いを始める
問① 養分は何か?植物の発芽のことを思い出して考えよう。
児童 種子の発芽の時の養分がでんぷんだったから、デンプンをつくるのではないか。
児童 葉でつくるのではないか。「葉が一番面積が広いから」などの意見
問➁ 観察方法を考えよう
B 日光に当てる→夕方までそのまま
C 日光に当てない→夕方までそのまま
問③ 朝、実験を始める時にはデンプンがあったのか、ないのか?どうやって調べる?
児童 朝 前の日の夕方から日光を当てないでおいて、(A)の葉を調べる。
A:前日夕方段ボール箱をかぶせる→朝、葉を取る。                
B:前日夕方ボール箱をかぶせる →朝、箱を取り昼間日光に当て夕方取る。日光あり
C:前日夕方ボール箱をかぶせる →朝、そのままにしておき夕方葉を取る。日光なし
光合成の観察から植物の栄養分について考えました。

2枚目の板書は、観察カードを用意した年の実践した時の板書です。
3通りのやり方で、葉で、でんぷんをつくる条件を調べました。

〇アルコールで葉を脱色して、ヨウ素液で調べる。でんぷんを作っていることが実験から分かる。(日光が当たると葉で光合成でデンプンをつくる)
・実験 日光をあてた葉とあてない葉の比較 
・A・B・Cの3種類を比較する → ヨウ素でんぷん反応

【段ボールを一株にかぶせる】
段ボールを、ホウセンカの株にかぶせました。

【左からA・B・C】

ヨウ素でんぷん反応

【子どものノート】
◇考察 
AとCは色が変わらなかったので、でんぷんがないことが分かった。Bには青むらさき色に変化し
たので、でんぷんがあることがわかった。なので、この実験から、日光が当たるときでんぷんをつ
くっていることがわかった。Aで夕方から朝までかぶせておくと、でんぷんがなかったので、日光
が当たっているときの朝から夕方までがでんぷんをつくっているんだと思った。なので、葉に日光
があたるように植物はなっているんだと思った。夜のうちにでんぷんを運び、成長に朝つかってい
るとわかった。

◇考察 
この結果から植物は葉で日光が当たっている時に養分をつくっていることがわかった。しかしなぜ
AとCのでんぷんがなかったのだろうか?それは夜にでんぷんを茎で運び成長のために使ってい
るということがわかる。

◇考察 
Bにはでんぷんがあった。AとCはでんぷんがなかった。AとCの共通点は日光にあたっていない
ことである。Aを調べる理由はBCが夕方に葉をとるからだと思う。Aは朝の時にでんぷんがなか
った。Bとくらべると、Bも朝の時にでんぷんがないと考えられる。夕方に葉をとりでんぷんがあ
ったということは、朝から夕方の日のあたっている時にでんぷんがつくられたのである。Aを調べ
ることで、いつでんぷんがつくられたのかがわかる。光をたくさんうけられる場所は葉だから、葉
で光を受ける。

(5時間目)光合成(まとめ)

〇教科書では、「葉でつくられたでんぷんはどこへ」と「ジャンプ」欄でふれている。
植物が光合成で、でんぷんを作り出し、それを糖に変えて全体に送り、その一部を再びでんぷんに
戻して、いも類などにして蓄え、子孫を残すというはたらきについて知らせたい。5年で学習した
子孫を残す働きを振り返り、化学反応式(中学で学ぶので覚えなくていいからと言って)取り上げ
た。植物の営みの不思議さに「すごい」という子どもたちの感想がある。
中学校で学ぶ化学反応式にもふれました。

問:でんぷんは、水に溶けない。植物はどうやって葉で作ったでんぷんを体中に送るのだろうか?
教科書「ジャンプ」と学校図書館の本も活用する。

単元を入れ替え先に学んだ「人の体」で、人間がだ液(消化液)で、でんぷんを水に溶ける(消化しやすい)糖に変えることを実験で取り扱っている。
でんぷんを夜の間に糖に変えて植物の体中に送ることを説明や問答で理解させる。植物の持つすば
らしい「知恵」に驚きの声があがる。さらに、イモ類は再びそれを水に溶けないでんぷんに変えて
保存する事にもふれる。学校図書館の本を紹介する。
植物の栄養分のまとめです。

(6時間目)(7時間目)植物の成長と水

課題④成長に必要な水をどのように運んでいるか調べよう。
観察 葉の気孔の観察をする。(呼吸・蒸散作用をする葉の観察)・・・・師管・導管の観察
天候により、4・5時間目と前後しても出来るときにこの観察を行うとよい。
◆葉の気孔の観察
◆葉を取ったホウセンカと葉のついたホウセンカの比較観察(植木鉢に一株植え替えて、花壇の土の中に入れておく。ビニール袋で覆いをして、授業のとき教室に持ってくるとよくわかる。
◆根から吸い上げた水や光合成でつくった養分の通り道を調べよう
葉や茎の道管の観察です。

2枚目の板書は、「根から取り入れた水は、どのように運ばれ、どのように使われるのだろうか」という課題設定にして授業をした年度のものです。
葉や茎の道管を観察しました。

【葉の有無を比べるーペットボトル】
ペットボトルを使って観察しました。



【鉢植えで葉の有無を比べる】
鉢植えを使って観察しました。

【左が葉をとったもの、右は葉があるもの】
左が葉をとったもの、右は葉があるもの

【葉のあるもの】
葉のあるものは蒸散作用で袋の中に水がたくさん。

【葉のないもの】
葉のないものは、袋の中に水滴がほとんどつきません。

(8時間目)植物の成長と日光・水(まとめ)


〇板書のような図を書いて、この単元で学習したことを振り返りました。
(天候の関係で気孔が閉じていたクラスはもう一度気孔の観察を行いました)
植物の成長と日光・水のまとめの授業の板書です。

【子どものノート】
〇考察
葉は日光のあたる昼に水と二酸化炭素と取り入れて、成長に必要なでんぷんや、酸素をつくりだす。この酸素はよぶんにつくってしまったものである。養分であるでんぷんは、夜、成長するために運ばれて、朝はほとんどがなくなっています。植物も人間と同じように呼吸をしていることもわかった。

 〇考察
今日の学習で、植物は日のあたる昼にたくさんでんぷんを作っていることがわかった。朝はでんぷんがあまりありませんでした。なので、朝までに昼に作り出したでんぷんを使い切ったということです。日光ででんぷんをつくりだすことを光合成ということがわかりました。また、二酸化炭素と根からすいあげた水ででんぷんをつくる植物ですが、必要のない酸素もつくってしまい、空気中に出します。それをわれわれ動物が使い、二酸化炭素をまた出すというのをくりかえします。このようなことを今日の授業で学びました。

(9時間目)NHKビデオを活用して学んだことを振り返る。

1学期末に行っているノートコンクールの予告を行う。
単元の最後のまとめです。

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